やさしい解説 |
袋井南小学校の学校山一帯には、地蔵ヶ谷古墳群(横穴群)と呼ばれる1500~1600年前の人たちの古墳(お墓)があります。 |
地蔵ヶ谷横穴群とは
昭和37年度の東海道新幹線と、昭和46年度の南幼稚園建設の2回の発掘調査で27基もの横穴墓が発見されました。副葬品についても、有名な装飾須恵器の壺や金色にかがやく冠、豊富な武器や玉類などが出土しています。遠江地域の横穴墓は6世紀前葉~8世紀初頭の間で造られましたが、地蔵ヶ谷横穴群の中にも6世紀前葉に造られた袋井市最古の横穴墓が含まれていることが発掘調査の結果で判明しました。
地蔵ヶ谷22号横穴内から土器が多数出土
横穴墓からは、主に須恵器などの土器類や、耳環や玉類などの装飾品、鉄刀や鉄鏃などの武器類が出土します。当時の人々が死後の世界に持っていこうとした貴重な品々の様子が横穴墓の発掘調査から分かります。
地蔵ヶ谷10号墳横穴出土の冠
この銅板に金を付けた、金色にかがやく冠は、レントゲン撮影の結果細かな彫り物があることが分かっています。小さな穴が外縁に付けられていることから、小玉が糸に結ばれ、ちりばめられていたと考えられます。
地蔵ヶ谷5号横穴出土の首飾
紺、白、薄茶色などのさまざまな色彩をもち、管玉、丸玉、勾玉の色々な形のおしゃれな玉類が、貴人の頸を飾っていました。死後の世界も豊かな生活を望んだのでしょうか。
地蔵ヶ谷22号横穴出土の土器類
横穴墓からは葬式に使用された様々な器が、出土します。形も茶碗形、高坏形、壺形、急須形などが見られます。これらの器は、食物を盛ったり、酒を入れたりする形のものが多いことから、死者と生者が共に食事を交わした葬式の様子をうかがい知ることができます。
参考文献:『文化財パンフレット第22集―発掘された―袋井の横穴墓』(袋井市教育委員会、2004年)