伝説の画人・幻の画人
1821年(文政4年)~1897年(明治30年)
画家としても著名な渡辺崋山に師事し、雅号に師匠の一文字をもらったほどの画人・村松白華が上山梨に住んでいました。白華は、文政4年(1821)1月1日に上山梨村に生まれました。本名は音吉。号は梨亭白華。
生まれつき器用な人で特に絵は上手でした。16歳の頃、稼業の仕立屋を手伝ったり、絵を描いたり又5月頃には凧を作りそれに得意の絵を描いて売ったりしていました。ある時、見付の画家・福田半香に「若い衆、みごとな筆さばきですね。師匠は誰ですか。」と尋ねられると、「私には師匠はありません。我流です。」と答えたそうです。その後、音吉は絵描きになろうと思い、半香を尋ねて弟子入りを頼みました。半香は快く迎えてくれましたが「私より師匠の渡辺崋山先生の方がいいでしょう」といって崋山あてに添状を書いてくれました。音吉は天にも昇る心持ちで江戸へ行き、渡辺崋山の元へ行き弟子入りしました。それから一生懸命に絵の勉強をして腕をみがきました。音吉は雅号に師匠から一字をもらい「白華」と改め故郷に帰り「梨亭白華」としてたくさんの絵を描きました。そして、明治30年(1897)3月14日、76歳で亡くなりました。現在も、白華の残した作品は市内に約30点残っているそうです。
【参考・引用文献】
袋井市農業協同組合 1982『袋井に伝わる昔話』
中道朔爾 1986『遠州画人伝』
鈴木貞夫 1997『幻の画人(創作)』はままつ美術研究所
【協力】
金原義光(敬称略)